こちらは少々古いお話。
あるバレー教室からの依頼で、
『くるみ割り人形』の中の『雪片のワルツ』を生演奏することになりました。
他の曲は CDを使われたのですが、これだけは
『生で、しかも舞台上で演奏してください』とのこと。
踊るのは、そのバレー教室の小さな生徒さんと、
一般募集のお子様たち。
私たちは、舞台の後ろの方にしつらえられた、バルコニーの下のようなところ。
支えの柱の隙間に、何とか指揮者が見えるように陣取る。
かなり狭い空間なので、そこでヴァイオリンを弾くのは苦しい。
舞台では、小さな子供たちは雪の妖精になって、思い思いに走り回ります。
私たちが演奏しているのも目に入らない感じで、
指揮者との間を走り抜けていきます。
なかには、勢い余ってぶつかってくる子も……
普通では考えられない演奏状況で、弾くのは大変でしたが、
子どもたちの思いっきりはしゃいでいる笑顔に癒され、
私たちも自然の笑顔になれていました。
オーケストラボックスでは舞台は見ることが出来ませんが、
実際に躍っている子供たちを見ながらの演奏は、
演奏と踊りの結びつきを、より強く感じることが出来て、
なかなか味わうことのできない、貴重な体験でした。
私が、『踊りのステップを感じながら演奏することを大切にしたい』
という思いを強くした経験です。
『くるみ割り人形』に強く惹かれるのも、この時の影響かな。
より多くの人と、音楽の喜びを共有したい。
今年の発表会にもこんな要素を一杯盛り込んでいます。
11 月 23日 (月・祝 ) 14時開演 京都市北区文化会館ホールで、
40 周年記念コンサート『くるみ割り人形』をします。
毎年の発表会のお客様は、多くても 100人。
そんな私たちが、 400人も入るホールでやります。
お時間が有りましたら、私たちと楽しい時間を共有しに来てくださると嬉しいです。